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by revolver0319

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ニハクミッカ

 父は高校を卒業後、省線の運転手になり昭和39年新幹線こだまの運転手になるまでに出世し、国鉄がJRになる前に退職し「これからははのんびり暮らすよ」と言っていた。その言葉通り毎月発売日に時刻表を買っては、それを一週間かけてじっくりと眺めていた。

 知らない人が見れば時刻表など読むところがあるのかと思うだろうが、数分おきに組み込まれた首都圏の電車のダイヤ。それを考えながら徐々に波のように全国に広がる、各線のダイヤは、常に進化を続ける方程式のようで、毎月少しづつ、どうすればもっと無駄なく電車を運行できるのかが考えられていて、毎年四月のダイヤ改正でその集大成を見せてくれる。

 つまりは進化し続ける芸術作品だ。

 父はそれを一週間かけてじっくりと読み解いていく。

 僕も父の影響を受け、小学生のころから時刻表を見ていたが高校生になっても、一冊の時刻表から先月からの進化を読み取るのに一か月はかかった。

「それはそうさ。俺たちが作っていたものだ。俺と同じスピードで読み取ろうなんて、二十年早いよ」

 父が生きていればきっとそう言っただろうが、父は退職して三年後にあっさりと他界してしまった。




続き読みたい人いますか?
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by revolver0319 | 2013-07-23 22:34
世の中に流通する様々な商品の中の、その大半は大量生産の使い捨てるような物ばかりだ。

そんな物に目をくれずに、本当に一生使える物を
または作り手の熱い気持ちがこもった、そんなものを身に着けたいと思わせるアイテム。

そうした物を私たちバイカーという生き物は選ぶのである。


「この革ジャンを作り上げるためにどれほどの苦労と努力があり、どれほど心血を注いで作られたか。どうだ着て見なさい。ほらバイクを乗る時のポジションに合わせてあるからまったく疲れないから。何より一生ものだよ」

ほうほうと20万ばかりの革ジャンを買う。
確かにそこらの物とは出来が違う。これはいいぞと5年ばかり着ていると。

「新作の皮ジャンが出来たんだよ。一生ものだよ」

なんていう下手な落語のような話もたまにはあるが,世間の軽薄な使い捨て流通に囚われたくないと考えている。


だが、そうしたアイテムは手作ゆえの悲しさか、一度に作れるのは少量だったりする。

まぁ作り手も金持ではないので、大量生産して在庫を抱える余裕もないという事情もあるのだが。


しかし少量しかないからこそ人気が出るということもある。

「あいつがあんな物を作ったぞ」
一気に話題になり、たちまち売り切れる。


その数少ないアイテムを運よく入手できた者たちは非常に喜び、一年中それを身に着け「どれほどこのアイテムが優れているか」をそこいら中でしゃべるので、それが抜群の宣伝効果となり。

「俺も欲しい」
「また作ってくれ」
なんていうリクエストがばんばんとやってくる。

ファーストモデルは30しか作れなかったが、今回はリクエストだけでも50は来ているぞ。

そうしてセカンドモデルが作られるのである。

だがファーストから数年。
世の中のトレンドなんて関係ないとはいえ、やはり時間の流れの中で、作り手の意識も多少は変化する。
デザインや機能性が進歩するのも当然だろう。

結果ファーストモデルよりもセカンドモデルのほうがより良い物になったりする。


では、セカンドが発売されるとファーストの価値はさがるのか。

否。
セカンドのようにように洗練さにはかけるし、機能性だって劣るが、
「もう二度と入手できない元祖モデル」
というプレミアム感が俄然輝きだし、
とんでもない価値観の上昇につながるのだ。

それが大概のファーストモデルというものである。



さて
これもファーストモデルである。



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このモデルを作る前に作者のTJ先生は自分用のプロトタイプを作っている。

それはスカルにフックをかけられる仕様のものだった。


「俺もそっちのがいいな」
このファーストモデルを買う前にTJ先生に一応聞いてみると。

「いやー、これはもう作れないんですよ。なにしろ面倒だし、コストも上がっちゃうし・・・・」
などとほざいいていたのだが。



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ぬけぬけとこんなセカンドモデルを発表した。


これはもう今まで話してきた内容とは違い、明らかな作戦だとしか思えない。

服やらアクセサリーならファーストもセカンドも持っていても問題はない。

ところがナンバー用のボトルなど、それこそ一台のバイクにはひとつで十分だし、気分で換えるような物ではない。

だがそれでは売れない。

そこでTJ先生が考えたのがこの作戦だ。

実はファーストモデル発表時からこのセカンドモデルは完成していたのである。
しかし、このモデルを作るのに試行錯誤し、失敗したスカルだけのボルトが500セットばかり出来てしまった。

そこで先生。
「苦労してやっと完成しました。スカルアーティストの私が自信をもってお贈りする、最高のスカルナンバーボルトです」

などとしゃーしゃーと嘘をつき。その上。
「手作りなので50セットしかありません」
嘘の上塗りで、実に3日で500セットを売りつくした商魂魂。

それから1年。いままで隠しておいたこのフック付モデルを。
「やっと完成」
なんて言いながら売り出したのである。


まったくもって金のためならなんでもやる男である。

この情報源は現在ロシアの空港内に身を潜めている元CIA職員の口から暴露されたのだから間違いない。
しかもあの元CIA職員はアメリカが怖いのではなく、TJ先生にびびって身を隠し、TJ先生の手の届かない国への亡命を模索しているらしい。


ああ、暑い。
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by revolver0319 | 2013-07-02 12:32